この季節になると、何故か、切なくなる。
 多分、これから死期を迎えるモノたちの、淋しげな泣き声の所為だと思う。
「葉っぱ、散っちゃったね」
 黄葉が綺麗だった、並木道。今はもう、その鮮やかさはどこにもない。
「なんか、淋しいね」
「………1年、待てばいい」
 僕の気持ちを察したのか、彼が手を強く握り返してくれた。
 彼の手は、凄く冷たい。コートのポケットに一緒に収まっているけど、僕の体温だけじゃ、足りないみたいだ。
「君の家の楓も、きっと色褪せてるんだろうね」
 彼の家の庭は、とても綺麗だ。春には桃色、夏には緑、秋には綺麗な赤で彩られる。
 何度か、写真を撮らせてもらったこともある。
「まぁな」
 少しだけ、淋しそうに彼が言った。多分、彼の頭の中では綺麗だった赤がくすんでいく映像でも流れているのだろう。
 だって、僕の頭の中にもその映像が浮かんでくる。
 それが妙に切なくて。僕は彼の手を強く握った。
 日増しに鋭くなる風が、僕の頬を霞め、あとは土に還るのを待つだけの葉を吹き上げた。カサカサという渇いた音が、僕には泣き声に聴こえて仕方がない。
 寿命とか、そういうの。なんであるんだろう。なんて。永遠が存在しないから、今を大切に思えるのに。やっぱり、何かが終わりに向かっていく様を見るのは、辛い。
 あんなに綺麗だった銀杏並木は、いまや淋しさだけしか残さず。鮮やかだった黄は死の色へと変わってしまった。
「切ないなぁ」
 スベテのものが死に行く季節。最期の季節。
 ……僕の最期は、いつになるんだろう?そのとき君は、傍にいてくれる?
 見上げる視線に気づいたのか。僕を見つめる彼の頬が、少しだけ赤い。
「ねぇ、手塚。君は――」
「そんなに紅葉が好きなら、来年も再来年も撮りに来ればいいだろう?」
「え?」
 僕の言葉を遮るように彼は言った。訊き返す僕から、視線を外す。
「写真だ」
「手塚、それってどういう……」
「……それくらい、自分で考えろ」
 前を見つめるその横顔。彼の庭にある楓までとは行かなくても、それくらい真っ赤で。
 なんだか少し、嬉しくなった。
「いいの?曲解しちゃうよ?」
「いつものことだろう?」
「……うん。」





だってサ、アンケートとったらバカップルが一番人気だったから。
あーあ。不二塚のときの不二の思考をもっと明るくしたいなぁ。



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