「……んっ」
 重なる唇。絡まる舌。
 競り上がってくる熱に耐え切れなくなった南次郎は、不二の体を壁に押し付けると、シャツのボタンを外そうと手を移動させた。
「……ぁめだよ。この先は」
 身をよじり、不二がその腕から抜け出す。乱れた服を直すと、呆然と立ち尽くす南次郎に不敵な笑みを見せた。
 その眼に、妙な想いが沸き起こり、南次郎は思わず生唾を飲み込んだ。
「いいじゃねぇか。うちのバカ息子にはヤらせてんだろ?聴こえてくるぜ?色っペぇ声がよ」
 肩を掴み、もう一度唇を重ねる。不二もそれに応じた。
 クスクスと、笑みが零れる。
「オジサマとリョーマってさ」
「南ちゃん」
「……南ちゃんとリョーマってさ、親子みたいなのに親子じゃないみたいだよね」
「何だそりゃ」
「んー。好みは似てるけど、親子の交流はないみたいってこと」
 いよいよ笑いが本格的になってきたのか、不二は南次郎の胸に額を当てると、声を上げて微笑った。
「何が可笑しいんだかねぇ」
「そのうちわかるよ。あー。可笑しい」
 手を回そうとしたのを察知したのか、不二は南次郎から体を離すと、目に溜まった涙を拭いた。
「じゃ。リョーマが待ってるから、行かなきゃ」
 クスリと微笑い、天井を指差す。
 南次郎はわざとらしく、大きな溜息を吐いた。
「バカ息子の何処がいいんだかねぇ」
「全部だよ」
 即答。見つめる不二に、南次郎は不敵な笑みを見せると、その肩を掴んだ。深く、濃密なキスをする。
「どーだ?オジサマだって、なかなかなもんだろう?いいじゃねぇか、一回くらい」
「駄目だよ。僕は一途だから」
 クスリと微笑い、今度は不二から唇を重ねる。
「相変わらず、連れないねぇ。……じゃあ、一体、これはなんだってんだ?」
「ただの遊び。あとは…お礼、かな」
「お礼?」
「うん。リョーマと僕の関係、黙って見逃してくれてるお礼。だから、今日もよろしくね」
「……わーったよ。ったく敵わねぇな、周助には。うちの連れて出掛けりゃいーんだろ?」
 面倒臭そうに、頭を掻く。
「うん。ありがと。そういう頼りになるオジサマって素敵だよ」
 不二は飛びっきりの笑顔で言った。それだけで、南次郎の顔は赤くなってしまう。
 沸き起こる欲情を抑えるように、南次郎は頭を振った。努めて冷静に、だと。
「いつかは、ヤらせてくれんだろーなぁ?」
「何言ってんの。いっつも優しいオネエサンに相手してもらってるんでしょ?」
「………金、かかるんだよねぇ。あーゆー所は」
「じゃ、自分で処理すれば?誰かさんに見られてもいいなら、ね」
 溜息混じりに言う南次郎に、不二は意地悪な笑みを見せた。
 背を向け、階段に向かい歩き出す。
「一度くらいはいいじゃねぇか」
 その背中に南次郎は愚痴を吐くように言った。不二が足を止め振り返る。
「言っとくけど、僕は高いよ?」
 ふ、と不敵に微笑うと、不二は向きを変え、リョーマの部屋のある二階へと向かった。



「……15分の遅刻。アンタ、また親父とヤってただろ?」
 部屋に入るなり、リョーマに時計を突き出された。確かに、約束の18時を15分過ぎている。時間に正確な不二は、いつも10分前にはリョーマの家にはつくようにしている。今日だって、そうだった。
「ごめんね。南ちゃん、しつこくてさ」
 クスリと微笑い、リョーマの手から時計をとると、口付けた。そのままリョーマを抱き上げ、ベッドに乗せる。
「それに、ヤってたって、キスだけだよ」
 もう一度、リョーマに口づけをし、そのシャツのボタンをゆっくりと外していく。
「……浮気者」
 不二を睨み、呟く。が、それは不二の欲情を煽るだけで、効果はない。
 リョーマの肌に触れた不二は、口元に笑みを浮かべた。
「でも、そのお蔭で、リョーマは僕とイイコト出来るんだよ?」
「………っそりゃー。そうかも、しんないけど」
「ああ、でも、そう考えるとあれだね。リョーマと南ちゃん、僕を介して間接キスしてるってことになるね」
「うげっ」
 不二の言葉に顔を青くすると、リョーマは懸命に自分の口を拭った。それを見た不二が、クスクスと微笑う。
「非道いなぁ。そんなに僕とキスするのいや?」
「………あんたが変なこと言うからっしょ?」
「じゃあ、やめる?」
「……………ヤダ。」
「ふふっ。可愛いね、リョーマは」
 不二は眼を細めてリョーマを愛しげに見つめると、唇を重ねた。
「好きだよ、リョーマ。誰よりも……」




「おい、バカ息子。今帰ったぞ」
「……何だ、バカ親父。帰ってこなくて良かったのに」
「っかー。可愛くないガキだなお前は。少しは感謝くらいしたらどーだ?」
「何でアンタに感謝なんかすんの?」
「ほら、周助とのことだよ。ああ?皆まで言わせる気か?」
「はいはい。アリガトウゴザイマス」
「ったく。ほんっとに可愛くねぇな。周助は可愛いっつーのによ」
「何も知らないくせに」
「……何か言ったか?」
「別に」
「ところで、周助はもう帰ったのか?」
「帰ったよ。当たり前じゃん」
「可哀相になぁ。もう少し余韻を愉しませてやってもいいじゃねぇか。受けるほうはつらいんだぞ、このやろっ」
「ってぇな。何も殴ることないっしょ」
「いーや。親としてこれくらいのこたぁしとかねぇとな。って……お、おい、バカ息子」
「何だよ?」
「何だ?そのアザみてーなのは?」
「……ああ。これ?いつもは気をつけてくれてるみたいなんだけど。まあ、たまには、ね」
「……………。」
「何?」
「い、いやぁ…その、周助って、もしかして…」
「何言ってんの、今更。もしかしても何も、そーゆー男だよ、周助は」
「は、はは…そ、そーか。そーだよな。幾らなんでもお前が…………そりゃ、ねーわな」
「阿呆らし。じゃ、俺、もう寝るから。オヤスミ」
「あ、ああ。おやすみ。………はぁ。金、払わなくて良かった。………………って。ちょっと待てよ、おい。じゃあ、俺の聞いてた声ってーのは…………?」





オチが読めますね。とうか、恥ずかしい話ですね。自分で書いといてアレですが。
読み返す勇気がなかったよ。ネタは好きなんだけどな(笑)



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