「先輩って、パンダみたいっスよね」
「周助。」
「………しゅうすけ。」
 僕の腕の中で頬を赤く染める、可愛いヒト。クスリと微笑うと、僕は彼を強く抱きしめた。彼の手が、僕の手に重なる。
「で。何だっけ?」
「だから。周助ってパンダみたいだよねって言ってんの」
 僕のことを名前で呼ぶようにいった途端、無くなる敬語。先輩と後輩という関係を越えた証拠だ。
「なんで?僕って、そんなに大熊猫に似てる?」
 耳元にふっと息を吹きかけるようにして話す。何も言わないけど、彼は少し動揺したらしかった。僕の手を強く握る。
「……見た目とかじゃなくて」
「じゃあ、何?」
「色。」
「ん?」
「だから、色だってば」
 僕の手から逃げたいのか、彼が腕の中でもがいた。少し淋しいけど、仕方がないから腕を解いてやる。案の定、彼は僕から離れた。向きを変え、僕を見つめる。どうやら、彼の言葉をスルーしてたのがバレたらしい。真面目に聞けって顔、してる。
「色、ねぇ…」
 とりあえず、話を聞いていたことを表す為に、呟いてみる。
 大熊猫といえば、白と黒、だよなぁ。でも、僕の肌は…テニスプレーヤーとしては白いけど、黒くはないよなぁ。髪だって、色素薄いから茶色だし。
「何?眼の周り、クマでも出来てる?」
 寝不足なわけでもないんだけどな。呟きながら、眼の下をこする。彼は首を振ると、また、僕の膝に座った。今度は向かい合う形で。
 じっと、彼が僕の顔を見つめる。
「ね、どこらへんが大熊猫に似てるの?」
「どう?意味不明なことを言われる側に立つのは」
 僕の質問には答えずに、彼は何処で覚えたのか分からない笑みを向けた。
「別に、悪くないけど」
 彼に同じ笑みを返し、キスをする。
 唇を離した彼は、頬を赤く染め、舌打ちをした。
「じゃあ、教えない。そのまま一生悩めば?」
 不貞腐れたように呟き、僕を抱きしめる。それが凄く可愛くて、僕は彼を強く抱き返した。
「いいよ、別に。そうしたら、僕、一生リョーマのことを考えてられるよね」
 耳元で囁き、クスリと微笑う。
「……つまんねーの」
 返ってきたのは、深い溜息。
 彼は抱きしめている腕を緩めると、僕をじっと見つめた。
「周助ってさ」
「ん?」
「腹ん中、白と黒が共存してんの。混ざっちゃって灰色になってるわけじゃなくて。だから、パンダ」
 あー…成る程。





友達に言われたの。
「アタシの心はホワイト&ホワイトプライム(歯磨き粉)よv」って言ったら。
「つぅか、白と黒のパンダちゃんでしょ?」って。
違います。アタシの心は純白です。



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