キラキラと輝く。まるで、宝石が降っているようだと、思った。 「ううん。このままいさせて」 彼の誘いを断り、両手を広げる。眩しさに眼を細めながら、空を見上げる。 「風邪、ひくぞ」 「そんなに柔じゃないよ。気持ちいいんだ、凄く」 雨の雫が、優しく僕の体を包む。普通のそれとは違う、特別な雨。 不思議な光景。見上げた空はあんなにも青く。それなのに、僕の体は濡れて行く。 「……カメラ、持って来ればよかったなぁ」 どうしてこういうときに限って忘れるんだろう。まあ、どの道、雨に打たれながら写真を撮るのは無理だろうけど。 「そろそろ戻れ。本当に風邪ひくぞ?」 「そうしたら、君が看病してくれる?」 「ふざけるな。自ら望んで風邪を引くような奴に優しく出来るか」 「ケチ」 「ケチで結構。」 溜息混じりに呟くと、彼は傘も差さずに僕の隣に立った。彼の体が、濡れる。 「手塚?」 「お前が戻るまで、オレはお前の隣に居る」 「駄目だよ。風邪ひいちゃう…」 「オレはそんなに柔じゃない」 「…………解ったよ」 敵わないな、と呟き、彼の腕を掴む。そのまま彼を引っ張るようにして、荷物が置きっぱなしになっている玄関へと戻った。 名残惜しそうに、笑顔で涙を流す空を見つめる。ああ、何となく僕たちは似ているね。 「手、冷たいぞ」 指を絡めると、心配そうに彼が僕の顔を覗き込んできた。 「いつもと逆だね」 だから僕は、クスリと微笑って返した。なのに。彼の顔が、曇る。 「……手塚?」 「泣いているのか?」 「え?」 空いている彼の左手が、僕の頬をなぞった。 「違うよ。これは雨…」 雨の所為、と言おうとして、僕の言葉は止まった。頬に感じる、雨ではない、生温かい雫。 泣いてる?僕が?何で? 解らないけど、何だか恥ずかしくて。僕は彼に背を向けると、濡れたままの腕で涙を拭った。それでも、溢れてくる涙。どうしよう。止まらない…。 「天気雨みたいだな」 僕の背中に降り注ぐ、優しい声。振り返ると、彼が優しい笑みを浮かべていた。 「微笑いながらしか、泣けないのか?」 手を伸ばし、僕の頬をつたうものを拭う。ほら、そんな風に優しくするから。余計に涙が止まらなくなる。 「……違うよ。」 小さく首を振り、彼の手を捕る。 「多分、これは――」 その先を言葉にする代わりに。僕は爪先立ちになると、彼の唇にそっと触れた。 |
不二を宗次郎にしたい。(るろ剣) …ぢゃあ、剣心は手塚か!?うっそぉん。 多分、手塚は『悲しい』以外で泣くことを(未だ)知らないと思うナ。 |
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