このまま、この時間がずーっとずーっと続けばいいって思った。アトベ以来のワクワク試合だっつったけど、実のところ、アトベのときとは比べ物になんねーくらい楽しい。
 でも、なんつーか、時間ってのはムジョウなもんで。楽しいって思っちゃうと、すぐに終わっちゃうんだよね。
 ま、1−6で負けちったせいもあんだけど。



「こんなところで寝てると風邪ひくよ?」
「ん……あ?」
 誰かに体を揺すられて、オレはゆーっくりと眼を開けた。でも、視界がぼやけてて。何度も眼をこする。
「慈郎くん、起きて。試合やろうよ」
 次第にハッキリしてくる影。ってか、この声って…。
「フジっ!?」
 はっきりと視界に映された顔に驚いて、オレは勢いよく起き上がった。その様子を見て、フジらしきヒトがクスクスと微笑う。
「なんだい?」
 寝起きのせいなのか、その笑顔がオレにはすっごく眩しく見えた。夢じゃないよな?なんて、何度も眼をこする。でも、目の前にある笑顔は相変わらず。
「ホンモノ?うっそ、マジ?」
 それでも信じられなくて、オレはペタペタとその顔を触った。目の前にいるフジらしきヒトは笑みを浮かべ、されるがままになってる。
「なーにやってんだ、お前ぇは」
 あーん?という声が後ろから聞こえてきて。俺はフジらしきヒトから手を離すと、振り返った。
「アトベっ、だって、これ…」
 オレがフジらしきヒトを指差すと、そんなことか、とでも言うようにアトベがタメイキをついた。
「不二がどうかしたのか?」
「やっぱりフジなの?マジ?ホント?」
「本当だよ。僕は、本物の不二周助」
 いつの間に移動したのか、フジはアトベの隣に並ぶと、ニッコリと微笑った。
 あー…ホンモノだ。
「でも、何で氷帝学園(ここ)にいんの?」
 体をねじった体制じゃちょっと辛いから、オレは立ち上がると二人を交互に見た。
「んー。気晴らしに試合しようと思ってさ」
「はっ、お前も俺様んとこを気晴らしにするとはな」
「いいでしょ?というより、もう氷帝は君のものじゃないよ。なんたって、僕たちに負けたんだからね」
「俺様は勝ったけどな」
 フジもすげぇこと言ったけど、アトベも負けずに言い返した。が、それがマズかったらしい。フジは口元に笑みを浮かべると、眼を見開いた。
「へぇ…そういうこと言うんだ」
「………悪かったよ」
 フジの気迫に押されたんだかなんなんだか、あのアトベがあっさりと謝った。それにはちょっと驚いたけど。でも、普段ニコニコ顔の奴が急にあんな顔になったら、誰でも怖気づくよな。って、アトベは何に対して謝っだんだろ?オレのことかな?
 まあ言いや。とりあえず、なんか喋っとかないと。今の状態だと、オレだけ仲間ハズレみたいじゃん?
「そーだ、そーだ。それじゃまるで負けちゃったオレが悪りーみてーじゃん」
「お前ぇは黙ってろって…」
「そうだよ。アトベ、慈郎君にも謝りなよ。彼が負けたのは、彼が弱かったからじゃなく、僕が強かっただけなんだから」
「あーん?」
「まあ、いいや。ね、慈郎くん。僕とこれから試合しない?」
「へ?」
 なんか今、フジがすげぇこと言った気がしたけど。とりあえず、試合が出来るし。考えんのはメンドイからいっか。
「あ。うん」
 オレは頷くと、フジと一緒にコートに入った。



「だからなーんで、こんなに早く終わっちゃうんだよ」
 ベンチに横になって、コートでアトベと楽しそうに試合してるフジを見つめる。
「いいなー、アトベ。オレも早くフジと試合してー」
「なにアホぬかしとん。自分、さっきまでフジと試合してたやん」
 オレの呟きに答えるようにして、影が被さってきた。半開きの目で、見上げる。
「オッシー。どーしよー。オレ、また負けちった」
「おう。見とったで。また1−6やろ?」
「うん」
「ま、あれやな。青学は全国に向けて猛練習しとるんやから、引退してだらだらしとった俺らとはちゃうねんて。ってか、逆に俺らが勝っちゃったらマズいやろ?」
「だって、オレ、密かに練習してたのに」
「ほぉ。それは初耳やな。引退前は大して練習もしとらんかったくせに」
「うっさい、ボケ」
「ヒトの真似すんなや、ボケ」
「あー。試合してー……」
「ほんだら、自分の番が来るまで寝ときや」
「なになにっ?起こしてくれんの?」
「ああ。ええで。但し、俺との試合が終わってからやけどな」
「……オッシーのバカっ」
「でも、寝んねやろ?自分」
「………うん」
「アホ」





不二くん、ハーレム状態(笑)
ってか、お気づきになりました?ひっそりと、不二塚前提なの(笑)
オッシーの出番を多くしたいけど、関西弁がどうにもこうにもι
跡部たまが三蔵(最遊記)チックで困るわι




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