「ちょっと、赤澤クン」
「何だ?観月」
「これ、見えますか?」
「?何だ?」
「だから、この小指に何か見えませんか?」
「いいや、別に。それがどうかしたのか?」
「いえ。見えないのならいいです」
「不二クン」
「何?」
「やっぱり、赤い糸なんて嘘じゃないですか」
「…莫迦だなぁ、観月。赤澤は君の上を行く莫迦だよ?見えるはずないじゃない」
「………それも、そうですけど」
「じゃ、次ぎ行ってみよう!」
「木更津クン。ちょうどいいところにいました。これ、見えます?」
「えーっと……」
「見えませんよね?」
「………赤い、糸?が見えるけど」
「―――え?」
「ほら、見えるってさ」
「まさか、買収したんじゃないでしょうね?」
「買収されないと思ったから、彼を選んだんでしょ?まだ信じられないんじゃ、他のヒトにも訊いてみれば?」
「……はぁ」
「あ。裕太」
「なんだよ、何で兄貴がここにいんだよ」
「いいじゃない。それより、さ。僕と観月の間に、何が見える?」
「何がって、何もねぇじゃねーか」
「ホント?よく見て。何が見える?」
「………あ、赤い糸?」
「そ。運命のね。ほら、観月。見えるってさ」
「…裕太くんは信用できませんよ。何て言ったって、あなたの身内なんですから。それに、彼は利口とも言い難いですし…」
「んー?観月、いま何て言った?」
「…あ。金田クン、ちょっと」
「はい、なんでしょう」
「ボクと彼の間に、何か見えます?」
「………運命の赤い糸ですか?」
「流石、金田君だ。うちの黄金ペアに一矢報いただけあるね」
「……次行きますよ、不二クン」
「ちょっと、そこのアヒル。こっちへきなさい」
「観月?アヒルって誰のことだーね」
「君のことだよ。だーね君」
「あーっ。不二周助だーね。何で君がここにいるだーね」
「んー。ちょっと、ね」
「そんなことはどうでもいいんです。柳沢くん、ボクの小指に何か見えます?」
「………そんなの、赤い糸に決まってるだーね。その先は不二周助に繋がってるだーね。なぁ、ノムタク?」
「ぼくには何も見えないけど…」
「野村君は莫迦だからしょうがないんじゃない?訊くところによると、裕太にいつも殴られてるみたいだし」
「……うーん」