「ごめんね、練習付き合わせちゃって」
 冷たい缶ジュースをおれの頬に押し当てると、不二は苦笑した。
「いいよ。おれの練習にもなったし。やっぱり、一人よりも二人で練習した方がいいしね」
 ジュースを受け取り、プルトップを開ける。不二は安堵の溜息を吐くと、おれの隣に座った。
「でも、どうしたんだい?今まで一緒に練習しようなんて言ってこなかったのに」
「んー。まあ、何となく、ね」
 困ったように笑うと、不二はおれのラケットを手に取った。それを天高く翳す。
「背中をね」
「えっ?」
「背中を、押されたんだ。タカさんに」
 ラケットを目の前まで戻す。不二はおれの真新しいグリップに視線を落とした。
「血が出るまでに練習して。そこまでして試合に勝とうとしたタカさん、凄くかっこよかったよ」
「はは、結局、引き分けちゃったけどね」
 そうだ。氷帝の樺地くんとの試合。あれだけ負けないようにと頑張って、新しい技まで作ったのに。おれは結局勝つことが出来なかった。おれがあそこで勝ってたら、手塚が九州に行くことも無かったかもしれないのに。
「タカさんが気に病むことは無いよ。それに、タカさんがああいう試合をしてくれたから、僕は勝つことが出来たんだと思うんだ」
「?」
「だから言ったでしょ。背中を押されたんだって。タカさんの試合を見て、絶対に勝たなくちゃって思ったんだ。どんなにボロボロになってもね」
 不二はおれを見つめるとクスリと微笑った。その笑顔に、苦笑する。
「ずるいな。その割には、6−1であっさり勝ったじゃないか」
「タカさんの意志を継いだからだよ。タカさんの、勝利を願う強い意志が僕を強くしてくれたんだ」
「……不二」
「タカさんは僕の背中を押してくれたんだよ」
 優しい笑みを向けると、不二はおれにラケットを差し出した。受け取り、感触を確かめるように何度か握る。
「…………ありがとな」
「ん?」
「いいや、何でもない。よし、練習再開しよう。不二にはパワーが足りないからね。特別におれが波動球を――」





――教えるわけじゃ在りません(笑)。
打ってあげるだけね。
不二タカはノーマルチックにバカップルが理想的(←意味不明)。




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