15.女王様とお呼び(不二跡)
「お前、この間氷帝学園(俺んとこ)で妙なこと言ったらしいな」
「ん?」
「女王様と呼べとかなんだとか」
「ああ。女王様とお呼びってね。確かに言った。でも、変なことじゃないよ」
「変だろうが。お前は女じゃねぇ」
「そうだね。丁度それを実感したところ。ねぇ。跡部は?受身の側ってしてる最中でも自分が男だって実感するものなの?」
「……代わってみるか?」
「冗談。僕が君に組み敷かれるなんて、考えられない」
「何も俺の下にならなくても出来るだろ?お前がいつも俺様にさせてることだ」
「やっぱり、跡部は見下ろしてる方が画になるからね」
「俺様は何でも画になるんだよ。って。そうじゃねぇよ」
「何?」
「何でそんな馬鹿なこといったんだ?」
「変の次は馬鹿ですか。まぁいいや。……ねぇ。僕って女王様って感じしない?」
「しねぇな。お前はどっちかっていうと魔王だ」
「でも顔だけなら、いけると思うんだけど」
「まぁ、顔だけなら、な」
「でしょう?」
「だが、中身は伴ってねぇだろ」
「でもそれは君んとこの部員達は知らないから。それとも、知ってるの?」
「……いや、知ってるはずはねぇな。忍足くらいなら、気付いてるかもしれねぇが」
「ふぅん。どうして?」
「お前がいつも無茶ばかりさせるからだ。アイツは無駄に勘が良いからな。別に俺が言ってるわけじゃねぇぜ」
「まぁ、僕としては言いふらしてくれても構わないんだけどね」
「まさか。言えるかよ。この俺様が……」
「……僕にいいようにされてるなんて?」
「うるせぇな」
「そうだよね。君はなんたって、氷帝のキングなんだから。キング」
「……まさかお前」
「ん?」
「それで、女王様なんて言ったのかよ」
「うん」
「……馬鹿か?」
「どうして?」
「どうしてって……」
「王様(キング)の隣に居るのが一般人でも魔王でもおかしいでしょう?だから僕は女王様(クイーン)になろうと思っただけだよ」
「……だからそれが馬鹿だつってんだよ」
「え?」
「お前は氷帝の人間じゃねぇし、俺は氷帝から出ればキングじゃねぇ」
「そう?僕は、君にはどんな時にでもキングでいて欲しいと思ってるんだけどね。実際にそうであるとも思ってるし。だから、僕は君に相応しい称号をもらおうかな、と」
「……くだらねぇな」
「そう。所詮自己満足の世界だからね。いいんだよ、君は気にしなくて」
「……ふん。勝手にやってろ」
(2009/9/15)
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