18.催眠術(蔵飛)

 躯が、飛影の過去を覗いたらしい。
 だから。道理で。ずっと、実力の差からだと思っていたけれど。オレを見る彼女の目は、どこか見下したようだったんだ。
 躯の、飛影に対する感情が、母性に似たものだと言うことは分かっているし、飛影からは何の感情も抱いていないと言うことも分かっているから。オレが焦る必要は無いのだが。
 それでも、オレの知らない飛影を、彼女だけが知っていると言うのは、悔しい。
 彼女に頼んで、彼女がしたことと同じことをするか?
 まさか。それはお断りだ。例え、彼女が快く承諾してくれたとしても。
 黄泉にその機械を作らせるか?
 それも無理だな。借りを作ってしまうと、後でどうなるか。それに、飛影が嫉妬してしまうだろうし。
 なら、本人から聞き出す?
 だが、ならばビジョンまでは分からない。けれど、それが一番いい方法だろう。
 が。問題は。飛影が、そう簡単に過去を話すかどうかだ。
 雪菜ちゃんのことだって、寝言で知って、その後は問い質しても教えてはくれなかった。幽助から聞いている今でも、それ以上詳しく過去を語ろうとはしてくれない。
 時々、魘されているにも関わらず。
 それだけの傷?だが、それなら猶の事、オレにくらい話してくれても……。
 かくなる上は。
「催眠術、か」
 人間界式の催眠術に少し興味があって、やり方くらいなら本で読んだが。それが彼に通用するとは思えない。
 と、なると、だ。
 眠り花と、夢幻花と…あと数種類の花を上手く組み合わせ、催眠効果を生み出せるような花、もしくは薬を作り出すしかないだろう。
 時間はかかるが、下手に催眠に失敗して警戒されてしまうよりは、マシだ。それに彼なら、オレの作ったモノを迷わず口に運んでくれるだろうし。
 そして、それが完成し飛影の過去を聞きだした後は…。
「ふふ。待っててね、飛影」

(2005/8/8)
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