20.装備:蚊取り線香 コマンド:戦う(はるみち)
「これでよしっ、と」
「はるか。これ、ちょっとやりすぎなんじゃないかしら?」
「そう?」
「だって。……花火、まだ始まっていないのよ?それなのにこんなに煙くちゃ」
「蚊に刺されたら大変だろ?」
「大変って。そんな大袈裟よ。服ににおいがついてしまうわ」
「そんなの、花火やればそのにおいがつくだろ?同じだよ」
「そうかしら」
「そうだよ」
「でもだからって、買ってきた一箱、全部使わなくても」
「蚊取り線香は室内だから強い効果を発揮するんだ。屋外じゃ、これくらいしないと煙なんてすぐに分散しちゃうんだよ」
「ほたるにはちゃんと虫除けのスプレーをするわ。買ってきたんでしょう?」
「勿論」
「だったらそれでいいじゃない。……まったく。ほたるのこととなると」
「あのね、みちる。僕が守ろうとしてるのは、ほたるもそうだけど、何より君なんだよ?」
「え?」
「みちる、スプレーのにおいが嫌いだって言ってたじゃないか」
「それは、そうだけど。……別に蚊に刺されるくらいどうということはないわ」
「みちるが気にしなくても、僕が気にするんだよ。僕以外の奴が、みちるの肌に痕をつけるなんて。……許せない」
「はるかさん。相手は虫よ?」
「虫でも何でも、同じことさ。みちる、知らないの?僕って凄く心が狭いんだ」
「知ってる、つもりだったけど。そうね。どうやら私が予想していた以上に狭かったみたい」
「……こんな僕は、嫌いかい?」
「まさか。貴女はいつも、私の想像を超えてくれるわ。良い意味でも、悪い意味でも」
「今回のは、どっちかな?」
「さぁ?どっちかしら」
「おい、みちる……」
「ほたるとせつなを呼んで来るわ。それと。……長袖に着替えてくるわ。念のため」
「それでも、消さないよ?まだ、首筋が残ってるからね」
「……はいはい」
(2009/9/2)
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