23.リストラ(不二榊)
「いいですよね、教師って。リストラがなくて」
「何を言い出すんだ、行き成り」
「やめさせられる心配もないから。僕とこんなことしてられる。良かったなって思っただですよ。貴方が教師で」
「君が教師をどんな職業と捉えているかは分からないが、それは心外だ」
「そうですか?」
「君がうちに来るようになる前は、よく家に仕事を持ち帰ってきていたんだ。これでも、な」
「へぇ」
「意外か?」
「ええ。だって、そんなに忙しいんですか?音楽って」
「授業自体はそうでもないが、学年主任を務めているのでな。それに、私立の教師はこれでも大変なんだ」
「ふぅん」
「……興味、なさそうだな」
「まぁ、貴方がどんな職についていようと、僕には関係ないですから。……いや、寧ろ、教師じゃない方がいいのかな?」
「君はもうすぐ卒業する。それに、私は君の教師ではない」
「それ、よく言いますよね。でもその割には、僕のこと、時々教師みたいな物言いをしてると思うんですけど?」
「クセだ。気にするな」
「でも、僕がタメ口きいたら、怒るでしょう?」
「私がそんな心の狭い人間に思うか?」
「ええ。とても狭いと思ってます」
「……ふ。そうだな。だが、君ほど狭くはない」
「それは、そうでしょうね。僕より狭かったら、僕が入る余地がない。……リストラ、されないかな。榊さん」
「……君が私を養えるようになれば、な」
「頑張ります」
(2009/9/9)
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