24.破局(不二塚前提、不二乾)
「不二。手塚と別れたそうじゃないか」
「……殺されたい?」
「驚かないんだな。知ってること」
「観月からメールがあった。幾らストーカーだからって、昨日の今日だ。アイツが気付いてるんなら、君が気付かないわけがない」
「気付いたわけじゃない。聞いたんだ」
「……聞いた?誰から」
「手塚から」
「……嘘だ」
「本当だ。……お前を、頼まれた」
「はっ。どうして僕が。君なんか。手塚の代わりになんか……」
「代わりになれないことは知ってる。俺と手塚じゃタイプがまるで違うしな。だから代わりになろうとは思っていない」
「駄目だよ。僕は。手塚でなきゃ。ドイツだって?だったら僕も留学する」
「不二。手塚は、お前にはお前の道を……」
「これが僕の道なんだっ」
「……不二」
「それに。僕らはまだ15歳だよ?別に寄り道したって構わないじゃないか。乾は、そう思わないかい?」
「それは……」
「それなのに、手塚は。真っ直ぐに進むことしか考えてない。だから、好きなんだけど。でも、バカだよ」
「不二」
「……手塚っ」
「不二。俺はお前が好きだ」
「知ってるよ、そんなの」
「だが、これは知らないだろ?俺は、手塚以上にお前を好きだ」
「……なに、言ってるの?」
「手塚は、お前と同じくらいテニスを愛してる。だが俺にはテニスに傾ける情熱はそこまでない。その分も、お前に向いている。だから俺は、手塚がお前を想う以上にお前を好きだ」
「何、その理屈」
「なぁ、不二。手塚以上の存在にしろとは言ってない。敵わないことは分かってるんだ。だから次でいい。手塚の次でいいから、手塚がいない間は、俺の恋人でいてくれないか?」
「……乾。それ、勝率何割の告白?」
「さぁ?こういうことは前もってシミュレートしてしまうとつまらないだろ?」
「ふぅん。珍しいね。乾がそう考えるの」
「不二の影響だよ」
「僕の?」
「そう。不二が手塚から影響を受けていたように、俺もお前から影響を受けているんだ。すぐ近くにいないから、とても微かではあるけれど」
「……影響、ね。手塚は、僕の影響、受けてくれたのかな」
「不二……」
「……乾。ゴメン。やっぱり僕、まだ駄目みたいだ」
「まだ、ということは、そのうち気が変わるかもしれないと想ってもいいんだな?」
「……その確立は、僕には分からないよ。君が考えて。ゴメン。僕、ちょっと」
「手塚なら、生徒会室だよ」
「ありがと、乾。君は良い奴だよ、本当に。じゃ」
「……。でも。二人が別れる確立、100パーセント。手塚の意志は固いよ、不二。俺が、お前に寄せる想い以上に、ね」
(2009/9/17)
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