27.びびでばびでぶー(外部ファミリー)
「ねぇ、はるかパパ」
「あれ?ほたる。まだ起きてたのかい?」
「うん。なんか眠くなくって」
「駄目だろ、ちゃんと寝ないと。明日は学校なんだから」
「……。ねぇ、はるかパパ。びびでばびでぶーってなぁに?」
「えーっと。……みちるー」
「はいはい。正しくは、『ビビディ、バビディ、ブー』って言ってね。シンデレラのお話の中で、魔法使いが魔法をかけるときの呪文なの」
「へー」
「ふぅん」
「……はるかパパ、知らなかったの?」
「ん。まぁ、そいういうファンタジーは読んだことがなくてね」
「あら、これは映画よ」
「あ。そうなんだ」
「ええ。……でも、変ね。はるか、貴女SFは読むんじゃなかったの?」
「SFとファンタジーは別物だよ。時々混同されたのもあるけど。……それより、ほたるはどこでそんな言葉を知ったんだい?」
「んー。なんかね、今日、帰りに言われたの」
「誰に?」
「クラスの男の子」
「……みちる、それってどういう意味?」
「さぁ。そんなこと私に言われても……」
「なんだ。みちるも分かんないのか」
「なによ。はるかなんて元々の意味すら分からなかったくせに」
「まぁ、そうだけどさ」
「あ。もしかしてその子、ほたるに魔法をかけたかったんじゃないの?」
「私に魔法?どんな?」
「そんなこと。決まってるじゃない」
「決まってない」
「……何ではるかが怒るのよ」
「当然だろ?」
「ねぇ。魔法ってどんな魔法?」
「違うよ、違う。そんなんじゃないって」
「違ってもいいよ。ねぇ、みちるママならどんな時にびびでばびでぶーって言うの?」
「私は……魔法をかけられた方だから」
「……心外だな。僕は魔法なんてかけちゃいないぜ?」
「えっ?はるかパパ、魔法使いだったの?」
「だから。魔法なんてかけてないって。僕からしたら、ほたるの方がよっぽど魔法使いみたいだよ」
「?」
「ほたるの笑顔を見てると、こっちまで倖せな気持ちになれるんだ。これって立派な魔法だろ?」
「びびでばびでぶー。……ね。倖せになった?」
「なった、なった。だからほら、今日はもう寝よう?今ならきっと倖せな夢が見れるだろうから。ね?」
「うんっ」

「ほたるは寝たの?」
「ああ。やっと、ね」
「……ねぇ、はるか」
「何?」
「私の笑顔じゃ、はるかは倖せにならないのかしら?」
「何、気にしたんだ。可愛いな、みちるは」
「茶化さないでよ」
「僕は、君が隣に居てくれるだけで倖せな気分になれるから。勿論、微笑ってくれてばそれ以上に倖せになれるけど。でも、ほら。安心するような気持ちにはなれないからさ」
「どうして?」
「君の笑顔は綺麗過ぎて、ちょっと刺激が強いんだよ。これだけは、いつまで経っても慣れそうになくてね」
「……じゃあ私、微笑わないほうがいいのかしら?」
「まさか。出来ることならもっと微笑って、僕に免疫をつけて欲しいな」
「嫌よ、そんなの」
「どうして」
「だって。ドキドキしてる貴女って、素敵なんですもの」
「……じゃあ、今も?」
「ええ。とっても素敵よ」
「そういう君も、ね」
(2009/9/23)
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