28.羽(蔵雪)
「蔵馬さんって、飛べるんですか?」
「どうしたの?急に」
「和真さんがそんなことを言っていたので」
「ああ。あれね。そうだね。羽ばたくののとは違うけど。風に乗るっていう感じかな」
「羨ましい」
「妖狐になれば、人間界(ここ)でもキミに羽をつけてあげることが出来るけど?」
「妖狐に、ですか?」
「……そう。南野の肉体では無理だが、妖狐(オレ)なら可能だ。ほら、背中を貸せ」
「キャッ。な、何するんですかっ」
「怖がるな。別にとって食おうというわけじゃない。お前の背中に浮揚科の植物を植えつけるだけだ。皮膚までは侵食しない。痛みもない」
「……私、空は飛んでみたいけど、羽は要らないです」
「?」
「だってそれじゃあ、蔵馬さんと別々に飛ばなくちゃいけないじゃないですか」
「…………」
「私のこと、抱いて飛んでいただけませんか?男性二人を抱えて飛べたんですから、私一人くらい容易いでしょう?……駄目、ですか?」
「……飛影に」
「?」
「見つかった時はお前がどうにかしろよ」
「はい」
(2009/9/3)
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