３３．純度の高さで競う（不二幸）
「あいつら、何をやってるんだろうね」 「ん。僕と幸村の、どっちが腹黒いかって話し合い」 「俺達抜きで？」 「そう。暇だよね」 「そんな暇があるならもう少し練習すべきだな」 「でも、どっちなんだろうね」 「何が？」 「腹黒いの」 「さあ？俺にはどうでもいいことだけど。……気になる？」 「幸村は、純粋なだけなのにね」 「俺が？」 「そう。自分の気持ちに素直なだけ。だからキツイことだって簡単に言える」 「それは……酷いな。別にキツイことを言ってるつもりはないんだけど」 「だからそれが純粋だってことだよ。僕は色々、邪念が多いからね」 「……邪念？」 「そう。邪念。何かは、教えないけど」 「いいさ、別に。知ったところで何かが変わるわけじゃなし」 「……でも、少しくらいは気にして欲しいけどね」 「不二？」 「まぁ、嘘でそんなこと言われても、嫌だけど」 「我侭だね」 「僕のはね。……それより。話し合いの結果はもう出たのかな？」 「どちらに軍配があがるにしても、パワーリストの重さを増やすことと、練習のレベルを上げることにはかわりないけどね」 「厳しいね、幸村は」 「他人に足を引っ張られるのは嫌いだからね」 「……ほんと、厳しい。青学(うち)じゃ真似できないな、そういうの」
(2009/9/28)