43.テーマソング(不二塚)
スガシカオ『秘密』

「さっきから何を聴いているんだ?」
「ん?僕達のテーマソング」
「……テーマソング?」
「そう。手塚も聴く?ここ押すと、ホラ。歌詞が出るから。ここをこうして回して歌詞、読んでみて。僕たちのことみたいだからさ」
「…………」
「ね?」
「…………」
「そんな気、しない?」
「……オレは、別に。そわそわした目ではお前を見ていないが」
「そこを拾うってことは、そう想ってるってことじゃない」
「違っ」
「でも、そうだね。そわそわとは違うかな。凄く、物欲しそうな目をしてる。今だって」
「馬鹿、やめろっ。こんなところで。そんな、目。するわけないだろう?」
「そうだよね。なんていっても、僕達の関係は秘密なんだから。僕たちはあくまでただのチームメイト」
「ああ」
「……でもさ、手塚。今、こんなところで、って言ったよね?っていうことは、別のところだったら物欲しそうな目をしてるってことになるのかな?」
「…………」
「ねぇ」
「そうだ」
「へぇ。正直だね」
「嘘は、周りだけでいい。お前には、正直でいたい」
「その結果が、その目?」
「?」
「凄く、キスして欲しそうな目をしてる」
「馬鹿」
「どっちが?」
「……お前っ。秘密なんだろう?」
「そう。秘密。だけどこのまま君を教室に帰すと、君の目に誰かが気付くとも限らない」
「それだけではお前の存在は連想されない。問題はない」
「大問題だよ。僕は。そういう君を僕だけの秘密にしておきたいんだ」
「そういう……?」
「そう。とても情熱的な君を、ね」
「……馬鹿だな」
「うん」
「だがオレも、馬鹿だ」
「それは、僕だけの手塚だよ」
(2009/9/19)
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