49.美しいバラには棘が(不二観)
「やぁ、観月」
「不二クンっ。どうして、ルドルフ(ここ)へ?」
「ちょっと、裕太に用事があって、ね」
「んふ。裕太クンなら今、部活後のロードワーク中ですよ。どうです?戻ってくるまで、ボクの部屋でお茶でも」
「そうだね。ああ、そうだ。これを、君に」
「……薔薇、ですか?」
「そう。君の部屋に、合うと思ってね。数は少ないけど。プレゼント」
「ボクに、ですか?」
「花は嫌い?」
「いえっ、そんなことはっ。ただ、不二クンが、ボクに何か、くれるなんて。思ってもみなかったので。ちょっと、ビックリして……」
「裕太のこと。いつも面倒みてもらってるお礼だよ」
「そんなっ、ボクは……っつ。……棘?」
「ああ、忘れてた。それ、棘がついているのをわざわざ買ってきたんだった」
「どうして、そんな……」
「だから言っただろ?裕太の面倒をみてもらってるお礼だって」
「……っ」
「ツイストスピンは、あれ以降多用はしなくなったみたいだけど。覚えてしまった技だからね。全く使わないって保証はない」
「あの時のこと、まだ、怒って……?」
「許す理由が無い。君は何か、償いをしたのかい?」
「……不二クンを、好きになりました」
「何、それ。それが償い?」
「だから、不二クンのためなら、なんだってします」
「悪いけど。君にしてもらうことなんてないよ。大体、それは償いじゃない。君がしたくてすることだろう?内容がどんなであれ、僕に命令をされることに快感を感じる。そうだろ?」
「…………」
「マゾ」
「否定はしません。でも、それは相手が不二クンだからです。それだけは、知っていてください」
「知ってもしょうがないと思うけどね。……まぁいいや。そんなことより、早く君の部屋に案内してよ」
「え?」
「え、じゃないよ。お茶、いれてくれるんだろ?」
「…………」
「どうしたの?僕が、怖いかい?だけどそんな僕が好きなんだろ?君は」
「ええ。とても、好きです。怖いんじゃないんです。その、好きすぎて、どうしたらいいかわからなくて」
「どうしたらって。お茶だよ、お茶。裕太が戻ってくるまでの僕の暇潰しの相手。君はそれをすればいいんだ。分かる?」
「あ。は、はいっ。じゃあ、はい、案内します。こっちへ……」
「あっと。その前に」
「はい」
「手、出して」
「え?」
「早く」
「はい」
「そっちじゃないよ。反対」
「はい。……えっ、ちょっ、何を!?」
「傷が早く治るおまじない。また来る時までには、治ってて欲しいからね」
「どうして……?」
「決まってるじゃないか。綺麗な君の肌に、また傷をつけるためだよ。君の、唯一の汚点。そう、僕の存在そのものだ」
「……不二クン」
「嬉しいだろ?僕を体に刻むなんて」
「ええ。とても。コレがずっと続くなんて、考えただけでゾクゾクします」
「変態」
「褒め言葉として、受け取っておきます。……さぁ、ボクの部屋はこっちです……」
(2009/9/7)
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