56.楽屋裏(はるみち)
「……お帰り。二部まで、休憩十分だっけ?」
「十五分よ。……ねぇ、はるか。どうしてステージを観てくれないの?」
「観てるさ」
「袖からでしょう?私は客席から観て欲しいの」
「それじゃあ君が楽屋に戻るときに間に合わない。間に合わせるために途中で退席したら……観客の迷惑になる」
「だから。どうしてはるかがここにいる必要があるの?」
「君には前科があるからね」
「何度も言うけれど、あれは貴女がくるって分かってたから」
「僕を煽るためでもして欲しくないんだよ。君に触れていいのは、僕だけだ」
「それに今はちゃんと鍵だって」
「じゃあどうして僕がここにいるんだろう?」
「……そういえば、そうね。どうして?」
「マネージャーから。ちょっと、ね」
「それはイカサマよ。……ちょっと待って。でもだからって。……はるか。貴女もしかしてあの子を」
「さぁ、みちる。そろそろ着替えないと。二部、間に合わないよ?ほらほら。僕も手伝うから」
「ちょっと、はるか。話はまだ……。ねぇ、どこ触ってっ……」
(2009/9/15)
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