58.バレンタインはそういう日ではありません(はるみち)
「……はるか」
「ん?あ。ごめん。みちるも食べたかった?」
「そうじゃなくて。今日、何の日だか分かってるの?」
「バレンタイン。皆が僕を甘やかしてくれる日だ。実際くれるのは甘いものばかりだし」
「それ本気でいってるの?」
「みちるも、僕に何かくれるんだろ?」
「はるかさん。バレンタインはそういう日ではなくってよ?」
「用意してない?」
「……してるけど。でも」
「僕以外の奴にあげるんだ」
「はるかがそんな思い違いをしているなら、そうね。ちゃんとバレンタインにチョコをあげる意味を分かっている人にあげてしまうかもしれないわ」
「本当の意味なんて、みんな分からなくなってるさ。現に、チョコをあげるということ自体、本来の意味とはかけ離れてる」
「……はるか?」
「僕は、愛情は君からしか受け取らないんだ。他の子からは気持ちを除いたものだけもらってる。だから、ほら。君も食べるかい?」
「……要らないわ。だってきっと、気持ちが残ってると思うから」
「そう。……じゃあ、行こうか」
「え?」
「海辺のホテル。贈り物は何も形あるものだけじゃない。……受け取ってくれるかい?」
「……ええ。勿論」
(2009/10/26)
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