６２．仏の顔も三度まで（はるみち、外部ファミリー）
「……みちる。せつな、怒ってないか？」 「そうかしら？いつもと変わらないように見えるけど」 「変わったら怖いよ。変わらなくても怖いのに」 「はるかさん。声、下げないとせつなに聞こえてよ？……でも、怒っているとして、どうしてかしら？」 「それが分からないから余計に怖いんだよな。彼女の中ではカウントダウンは存在してるらしいけど」 「どういうこと？」 「仏の顔も三度までっていうだろ？なんか、三回までは見逃してくれるらしいんだ。何処から数えて三回なのか、何が三回なのかは分からないけど。たぶん、今僕たちはリーチなんだと思う」 「僕たちって。私も？」 「だってさっきからこっち見てるじゃないか」 「はるかだけを見ていた場合だってそうなるわ。私、心当たりないもの」 「僕だってないよ」 「ねぇ、はるかパパ、みちるママ。二人で何内緒話してるの？」 「わ」 「ほたる」 「ねーえー。何なに？」 「何でもないよ。あ。そうだ。……ほたる。せつなママのお手伝いしておいで」 「えー。どうしてー？パパもたまにはお手伝い」 「せつなママはほたるがいいんだって。僕じゃ駄目なんだよ」 「どういうこと？」 「僕は役立たずだからね。嫌われてるんだ」 「そんなことないよ。だって私、はるかパパ大好きだもん」 「ありがと。ほら、行っておいで」 「うん。……せつなママぁ。ほたる、お手伝いするー」 「いいの？はるか」 「せつなの機嫌取りは、ほたるに限るからね」 「あら。悪い人」 「そんなこと言うなよ。ほら、見てみろ。せつなだってきっと笑顔で……って。あれ？」 「せつなさん？」 「はるか。みちる。あなたたちはまたそうやって……。一体何度目だと思ってるんですか！」 「お、おい。何を怒ってるんだよ」 「ほたるの前では止めなさいと再三言いましたよ、ね？」 「ねぇ、はるか。もしかして、逆効果だったんじゃなくて？」 「……そう、みたい、だね」 「何を二人で話してるんですか！いいから二人とも少し距離を置きなさいっ……！！」
(2009/9/13)