63.覚えてろよ!(不二観)
 捨て台詞を吐いてかけていく彼を見て、僕は溜息を吐いた。
「忘れようとしても、忘れさせないくれないくせに」
 頭を抱えたくなる。
 どうにか頭からアイツを押し出そうとしてみても、2,3日後にはまた現れて、僕の脳にその存在を植えつけていく。
 それで何を狙っているのか。僕が根負けすると思ってるのか。だとしたら……。
「いや、まだ大丈夫だ」
 幾らアイツがしつこいからって、それに負けるような僕じゃない。
 大体、有り得ないだろ?僕がアイツと付き合うだなんて。裕太となら、まだしも。
 裕太、か。
 それだったらどれだけいいことか。裕太にこんなことされるなら、僕は絶対に忘れはしないのに。
「……ま、いいか」
 いつまでも考えてると余計に忘れられなくなる。
 空を仰いで深呼吸をすると、僕は気を取り直してルドルフからの帰路を歩き始めた。
(2009/10/26)
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