67.ワイルドな彼女(はるみち)
「はるか」
 どうしてだろう。その目に見つめられると、僕は金縛りにでもあったかのように動けなくなる。
 動けなく?違うな。
 僕は吸い寄せられるように彼女にキスをする。
 そう。これは僕自身の行動。
 なのに、操られているかのような感覚がある。
 彼女は夢魔なのだろうか?そんな風に思ったことがある。それとも邪眼の持ち主かなんて。
 どちらにしてもくだらない考えだし、仮にそうであったとしても何かが変わるわけじゃない。
「はるか。ちゃんと見て。私を」
 ただ。彼女の、僕を見つめるその目に。普段は隠されている野性を感じて。
「みちる……」
 共鳴するように、僕の野生も呼び起こされてしまうんだ。
 それはどうしたって逃れられない、呪縛にも似た、解放――。
(2009/10/4)
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