73.ダメ出し(3-6)
「……駄目だなぁ、英二」
「わっ。不二。見てたの?」
「うん。見ちゃったみたい」
「うっわー。俺メチャメチャ恥ずかしいじゃん!」
「なんで?」
「……だって」
「告白の練習でしょ?」
「うん」
「可愛いじゃない。健気で」
「だからだよっ。うっわー、俺、恥ずかしくて死ぬーっ」
「でもそれ、実際大石に言うんでしょう?」
「……そう、だけど、さ」
「僕に見られても恥ずかしいようなことを、大石に言うの?」
「本番は別じゃんか」
「そう?」
「そう!」
「大体なんだって不二なんかに見られるんだよ」
「何それ。その、僕以外のほうが良かったみたいな言い方」
「そういってんの!」
「なんで?」
「ちょっと考えれば分かるだろ?不二に弱味を握られるなんて」
「弱味なの?」
「……失敗したら」
「じゃあ大丈夫だよ」
「何でそんなこと言いきれるんだよ」
「僕がこれから指導するから」
「……やっぱり」
「何、そのやっぱりって」
「そうなるから嫌だったの!不二のダメ出しってキビシイんだぜ?不二は自覚ないだろうけど」
「何言ってるの。厳しくないと駄目出ししてる意味ないでしょ?」
「うげぇ。じゃあなに。不二はわざとキビシくしてんの?」
「当たり前じゃない。特に、怠け者の英二くんにはね。さぁ、じゃあはじめようか。僕を大石だと思って、大いに告白したらいいよ」
「……んなことして。手塚に誤解されても知らないよ?」
「大丈夫。その時は英二に批難が向くから」
「げぇ」
(2009/9/18)
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