78.恩知らず(不二観)
「少しはボクに感謝して欲しいですね」
「どうして、君に」
「だってボクが悪者になってあげたお陰で不二クンは裕太クンと仲直りできたんですよ?」
「……仲直り?まさか。僕たちは元々喧嘩なんてしていなかったよ」
「だったら一方的に裕太クンが不二クンを嫌っていただけかもしれませんね。ですが、どちらにしろ裕太クンが以前のように不二クンに接するようになったのは、ボクとの一件のお陰です」
「例えそうだったとして、だからなんで君に感謝しないといけないんだい?」
「だから」
「別に君がこの結果を望んでたわけじゃない。君の悪巧みの結果、偶然にそうなっただけだよ」
「恩知らず」
「怨なら返してやってもいいけど?」
「……怨?」
「そう。裕太を散々利用した怨。まぁ、その結果は芳しくは無かったみたいだけど」
「……不二クンも裕太クンも、恩を仇で返すようなタイプのようですね」
「僕はまだなにもしてないだろ?それに、恩じゃない」
「何もしてない?冗談言わないで下さい。ボクの気持ちを知っていながら、裕太クンと近親相姦だなんてっ……」
「……知ってたのか?」
「当たり前です。裕太クンの健康管理はボクの役目ですから」
「健康管理?」
「ええ」
「それは一体どういう内容なのかな」
「そんなの決まってるじゃないですか。毎日トレーニングの後、裕太クンの筋肉のつき具合や疲労の度合いなどを見るんですよ」
「隅々まで?」
「ええ。不二クンの痕跡まで総て」
「……へぇ」
「お陰で裕太クンの筋力は以前より上がりましたし、筋肉のつき方も理想的なバランスです」
「へぇ」
「どうです?ボクの力は。不二クン。裕太クンのかわりにキミがボクに恩を返してくれてもいいんですよ?」
「断る」
「裕太クンがこちら側にいることはお忘れなく」
「それでも、君を抱くことだけは絶対に嫌だ。……抱く代わりのことなら、してあげてもいいけど」
「えっ?ホントですか?代わりって、もしかしてデートですか?」
「いいや。個室で二人きりですることだよ」
「個室って?」
「そう。ラブホテルがいいかな。確か近くにSMルームのあるラブホテルがあったはずだ」
「え?ちょっと不二クン。それってもしかして……」
「どうも君は僕の神経を逆撫でして酷いことをされたいようだからね。ほら、おいで」
「い、嫌です。不二クンっ、離してください。痛っ……!」
(2009/11/9)
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