９３．うんと言え（外部ファミリー）
「はるかパパー」 「なんだい、ほたる」 「あのね、これからほたるが言うことに対して、全部『うん』って言って欲しいの」 「嘘発見器かなんかにでもかけるつもりかな？」 「いいから。ねっ」 「はいはい」 「えーっと。まず、あなたの名前は天王はるかですか？」 「はい。あ。うん」 「次。血液型はB型ですか？」 「うん」 「あなたの将来の夢は、レーサーになること」 「……うん」 「あなたが好きなのは、土萌ほたるですか？」 「えっ？」 「パパっ」 「あ。うん。……うん」 「もう一回っ。はるかパパが好きなのは、ほたるっ」 「うん」 「はるかパパは、みちるママよりもほたるが好き。……好き？」 「……うん」 「じゃあ、将来の夢は、レーサーになることと、ほたると結婚すること！」 「うん。……なぁ、ほたる。これって一体……？」 「じゃーん。これなーんだっ」 「それっ、ICレコー……。ちょっと待て、そんなもん一体」 「みちるママに聞かせるの。あっ、勿論、最初の部分は録音してないから」 「ちょっ……。ほたる。それは情報操作って言うんだ。いけないことだよ」 「大丈夫、みちるママだって本気にはしないよ」 「じゃあ何でそんなもの聞かせようとするんだよ」 「んー。何となく」 「おいおい」 「だっていっつもはるかパパとみちるママがそういう会話してるから」 「してるから、なんなんだよ」 「みちるママに聞かせてこーようっ、と」 「だからほたるっ！みちるが誤解したらどうするんだよ」 「誤解するの？」 「しないとしても、ヤキモチくらい妬くさ」 「そうしたらどうなるの？」 「……そうだな。暫く、口聞いてくれなくなるかな」 「そしたらその間、ほたる、はるかパパを独り占めできるね」 「え？」 「よーし。じゃあ行ってこよーっと。みちるママー！」 「おい、ほたるっ。ちょっと待っ――」
(2009/11/14)