207.回転ベット(不二榊)
「へぇ。綺麗な部屋。僕、こんなとこ初めて来ましたよ」
「そうなのか?」
「ええ。貧乏中学生にはラブホテルなんて夢のまた夢ですから」
「夢、か。……しかし不二は売りをしていたのではなかったか?」
「売ってません。お金は貰ってませんから。ただ、一緒に寝てただけです」
「私からすれば同じだがな」
「頭、硬いんですね」
「柔らかくなければ、中学生の、しかも男に掘られるなんてこと出来ないと思うが?」
「……それもそうですね。……僕と一緒に寝ていた人たちは、お金を払わないから僕を選んだくらいですからね。もっと安いところばかりでしたよ」
「なら、もう少し汚いところならよく知っているんだな?」
「もう少しというか、だいぶ、ですけどね」
「…………」
「あっ。コレ動く!へぇ。何でこのベッド丸いのかと思ったら、回転するからだったのか。でも、何で回転する必要があるんだろう。……ねぇ、榊さん?」
「私はベッドを回転させたことは無いので、その必要性は分からないな」
「ふぅん。なんか、してる最中に酔いそう。あ。それが目的なんですかね?」
「どうだろうな。……止めるぞ」
「ええ、どうぞ。にしても、広いベッドですね」
「そのための料金だ。不満なのか?」
「やっぱり僕には安いラブホテルの方が似合ってる気がします」
「君にはそんな安っぽいものは似合わないさ」
「そうじゃなくて。広すぎるから」
「この広さを利用して、色々するんだ。どうせなら、試してみるか?」
「……どうせ試すなら、榊さんのベッドがいいですね」
「うちのはセミダブルだ」
「そうなんですけど。ベッドはね、狭い方がいいんです。落ちそうなくらいの方が。だってほら、落ちないようにって密着するでしょう?」
「だが、そればかり気にしていたら行為に集中できんぞ」
「大丈夫。気にさせないようにしますから。……ねぇ、やっぱり出ません?我侭いって連れてきてもらったところ何ですけど。やっぱり、あなたを抱くなら、あなたのベッドがいい」
「狭いからか?」
「それもありますけど。あそこは、どうしたって榊さんの匂いが染み付いてますから。そういうところで、あなたを抱きたいんです。……駄目ですか?」
「よくわからない理屈だが、いいだろう。……ただし」
「ただし?」
「ここで無駄金を使った分は、ちゃんと返してもらうぞ」
「ええ。いいですよ。……じゃあ、早く行きましょう」
「ああ」
(2010/01/16)
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