212.名誉毀損(不二塚)
「名誉毀損だよね」
「何だ?」
「立海。手塚が7人もいるようなもんだって。アレは誰がいったんだったかな?」
「そんなこと、言っていたのか」
「そう。だけど実際は。……ねぇ。君の方が強かったよ」
「いや。少なくとも真田と幸村はオレよりレベルが上だろう」
「そうかな。君は変なところに頑固だからね。勝つことだけにこだわれば、真田にだって負けなかったんじゃない?」
「それはお前にも言えることだろう」
「僕に?」
「カウンターにこだわらなければ、白石に勝てたはずだ。あれだけ連続して技を出せば、攻略してくれと言っているようなものだ」
「……それは」
「天才、か」
「何?」
「それこそ名誉毀損だとオレは思うが」
「どうして」
「確かに、センスは天性のものだろうが」
「って」
「この手は努力の証だろう?それを天才などという言葉で片付ける奴等の気が知れん」
「いいんだよ、僕は。どう思われても」
「オレだって同じだ。実力をどう評価されようとも構わない。過大であれ、過小であれ、評価に実力は反映されないからな」
「でも、選抜なんかはその評価がものを言うんだよ?」
「……お前は、オレが選ばれないと思うのか?」
「ううん」
「水準ギリギリでも選ばれれば、その先は実力で勝ち取ればいい」
「……ねぇ、手塚」
「何だ?」
「今度は、自分のために戦ってくれるんだよね?」
「不二?」
「部のためじゃなく、越前のためじゃなく。自分のために。……僕は、そういう手塚が見てみたいんだ」
「だったら、お前はオレのために勝て」
「え?」
「勝利に執着できなくとも、オレには執着できるんだろう?オレは、必死になっているお前が見てみたい」
「僕は必死だよ、いつだって」
「どうだか」
(2010/02/09)
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