216.天才バカ(3-6)
「不二って、天才のクセに、バカだよな」
「なに、それ」
「だって、手塚のことってなると、なんていうか。正直、引く」
「しょうがないよ。好きなんだから」
「頭いーんだからさ、もう少し冷静に考えらんないの?」
「感情が優先的に動くんだよね。手塚に関しては」
「感情?体の間違いじゃないの?」
「あはは。そうともいうかも」
「ったく。幾らなんでもあれはさぁ。手塚も可哀相だよ」
「何で。だって手塚が悪いんだよ?二日ぶりだって言うのに僕に挨拶もなく部員のことばっかり」
「決勝前なんだからしょうがないっしょ」
「それにしてもさぁ」
「ていうか、その前の日、部活休みだった時に手塚と一緒だったんじゃなかったの?」
「……決勝前だからって、禁欲生活」
「あー。そうなんだぁ」
「英二はいいよ。ダブルスだから、練習って言ったら大石とでしょう?」
「まぁね」
「昨日も、一緒にいたんだろ?」
「……決勝の、作戦を」
「何時まで?」
「えっと……。いや、だから。俺の話をしてんじゃなくて!」
「じゃあ英二。考えてみてよ。一週間、大石と離れてたとして」
「何で一週間なんだよ」
「僕にとっての一日は、英二にとっての一週間だから」
「あ、そ」
「一週間ぶりに会ったのに、大石は全然英二と話してくれない。それどころか、他の部員と楽しそうに会話してる。笑顔なんかかわしちゃってさ」
「……手塚、笑ってないじゃん」
「それは英二が気付かなかっただけ。笑ってたんだよ。多分、翌日に控えた全国を思ってのことだろうと思うけど」
「ふぅん」
「想像した?」
「した」
「さぁ、英二ならどうする?」
「……大石に構ってって言う」
「ほら」
「ほらじゃないよ。俺はちゃんと言葉で言うから。不二みたいに、部員の前でキスとかしないから!」
「手塚は言っても聞かないからさ」
「そういう問題じゃ」
「じゃあ、英二が構ってっていっても大石が聞かなかったら?」
「それは……」
「ね。キスするよね?」
「しないし!ていうか、したとしても、その、部室、とか。連れてって」
「連れてって何するの?英二、やっらしー」
「……キスしてそのまま手塚を押し倒そうとした奴にだけは言われたくないんだけど」
「あはははは」
「……手塚、可哀相」
(2010/01/30)
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