226.迷える子羊(はるみち+うさ)
「はるかさーん」
「やぁ、子猫ちゃん」
「ばる゛がざーん」
「ど、どうしたんだよ。泣いてるのか?」
「うえーん。今日の私は子猫じゃなく迷える子羊なんですよぅ」
「なんだよ。何があったんだ?」
「まもちゃんに嫌われちゃったー」
「まさか」
「だってぇ。お料理作ってあげようと思ったのに、食器割っちゃったし、それ片付けてる間にお料理焦がしちゃったし、せめてお洗濯しようと思ったら色移りしちゃったし」
「……家事くらい出来なくったって。衛さんにやってもらえばいいじゃないか」
「それじゃあ私お嫁さんになれなーい」
「お嫁さん、ね」
「どうしたらドジとかしなくなるんだと思いますか?」
「僕は、ドジとかしちゃう子の方が、可愛いと思うけどな」
「えっ」
「何でも完璧にこなせる子なんてさ、なんていうか、放っておいても平気そうだろ?お団子頭くらいの方が、構ってやりたくなるっていうか、守ってやりたくなるんだよ」
「そういうもんですかねぇ」
「それで、衛さん怒った?」
「ううん。笑って許してくれた」
「だったら大丈夫さ」
「それに、何でも完璧にこなしたら、お団子頭らしさがなくなるだろ?」
「……そういうもんですかねぇ」
「そういうものよ」
「みちる」
「みちるさん!」
「うさぎは今のままで充分素敵よ。あまり色々出来てしまうと、ほんと、誰も構ってくれなくなってしまうから」
「……みちる?」
「でもぉ、みちるさんは何でも出来るじゃないですかぁ」
「そうかもしれないわね」
「でもぉ、みちるさんにはぁ、はるかさんがいるじゃないですかぁ」
「そうかもしれないわね」
「おい。なんで断定しないんだよ」
「だってはるか、うさぎを口説いてるんでしょう?」
「別に、僕は……」
「うーっ」
「うさぎ?」
「やっぱりいいなぁ。はるかさんとみちるさん。完璧なカップルって感じがして。私もまもちゃんとそうなりたいぃ」
「……完璧な人間なんて、いやしないわ」
「みちる?」
「はるかね、これでいて結構だらしないのよ。朝なんて」
「おい」
「朝なんて?」
「ふふ。この先はトップシークレットよ」
「えーっ。そこまで言って教えてくれないんですかぁ」
「知りたいのなら、はるかに口説かれてみたら?」
「おい、みちる。僕は別にっ」
「……うー。気になる、けどぉ。私にはまもちゃんがいるしぃ」
「はぁ。……衛さんがいるって、そういう想いがあればきっと大丈夫。それより、こんな所で油売ってる暇があるなら、衛さんの所にいった方がいいと思うぜ」
「そうですかねぇ」
「そうよ、うさぎ。衛さんを独りにしておくと、もしかしたらはるかがあなたにしたみたいに、口説く人が現れないとも限らないわ。衛さん、恰好良いもの」
「わわっ。それは駄目っ。じ、じゃあ、私、行きますっ!まもちゃんに限って大丈夫だと思うけど、でも、行きますっ!」
「ああ」
「気をつけてね」
「……怒ってるだろ」
「え?」
「そういうとこ。可愛いって思うぜ。僕だけが知ってる、みちるの欠点」
「……バカ」
(2010/01/25)
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