230.第六感(はるみち)
「みちるはさ、そういう、幽霊とかって見えたりするの?」
「なあに?」
「いや、ほら。第六感っていうかさ。みちるってそういうのあるんだろ?火野さんみたいな」
「ええ。まぁ」
「それで?やっぱ幽霊とかって見えたりする?それってどんな姿してんの?」
「どんなって……。そうね、今、はるかの隣にいる子みたいな姿かしら」
「――え?」
「冗談よ。……残念ながら、私には見えないわ」
「なんだ。見えないんだ」
「だってああいうのって信じていないと見えないもの」
「そうなの?」
「そう、だと思うわ。だって私、今までそんなの見たことないもの」
「……でもさ、逆にはっきりと見えすぎてて、それが霊だって気付いてないってことはない?」
「え?」
「なぁ、みちる。あの隅のテーブル。何人座ってる?」
「3人?」
「だよな」
「違うの?」
「奥のガラス、見てみろよ」
「――え?そんな」
「それに。テーブルにおいてあるグラス、2つしかないんだぜ?」
「…………」
「これって僕にも、霊感って奴が備わったってことかな?ほら、よく言うだろ、霊感の強い奴の傍にいると影響されるって」
「……それって私のせいってこと?」
「もしそうなんだとしたら、少し嬉しな」
「どうして?はるか、幽霊とか好きだったかしら」
「そうじゃなくてさ。なんていうか、影響が出るほど近くにいるんだなって。それと。みちると同じものを見れるっていうのが、さ。嬉しいだろ?」
「それが幽霊でも?」
「それが幽霊でも。……破滅の夢でも」
「はるか……」
「……みちる」
「そんなことより」
「っと。なんだよ」
「あの子。本当に、本物の幽霊なのかしら?」
「……さぁ?」
(2009/12/1)
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