235.狼少年(はるみち)
「みちる、愛してる」
「また……。嘘ばっかり」
「嘘じゃないさ」
「あら。じゃあどうして他の人にも同じことが言えるのかしら?それも全部本心?」
「みちるには、嘘は吐かない」
「……例えそれが本当だったとしても、多用されると説得力がなくなってよ」
「そう?」
「そうよ。狼少年と変わらないわ。いざ本気になった時、きっと誰も貴女の言葉を信じない」
「みちるも?」
「そうね。きっと私も。慣れてきてしまったもの」
「狼少年、か。まぁでも、その言葉はあながち外れてもいないのかもしれないな」
「……それって貴女が嘘吐きだってこと?」
「そうじゃない。そうじゃなくて」
「きゃっ……。ちょっとはるか!」
「僕が狼だってこと。満月の夜じゃなくても、僕はみちるの視線を受ければ狼になれるんだ。君は知らなかったと思うけど」
「そんなの」
「?」
「とっくに知っていてよ。愛すべき、狼さん」
「――え?」
(2009/11/21)
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