251.木の根を噛む生活(蔵飛)
「ねぇ、飛影。いい加減オレのところで暮らしませんか?」
「断る」
「どうして」
「うるさい」
「だって。いつまでそんな生活を続ける気ですか?寝る場所もない、食べ物もない」
「寝床なら百足がある」
「その割には、野宿ばかりしているじゃないですか」
「……それは」
「魔界にいるとパトロールをしなければならないし、それ以外ではムクロに使い走りにされる。それが嫌なんでしょう?」
「知ったようなことを」
「ねぇ、飛影。オレならあなたをそうやって縛り付けたりはしませんから」
「共に暮らせというセリフは縛り付けていないといえるのか?」
「わざわざ夕食時を見計らって来るほうが、縛られているような気がしますけど?」
「…………」
「…………」
「兎に角。俺はお前と暮らすつもりなどない」
「……あなたがホームレスのような生活をしていると知ったら、雪菜ちゃんはどう思うかな」
「何だと?」
「ああ、もしかしたらあなたを哀れんで、一緒に暮らしましょうっていうかもしれないですね。もしかして、それを望んでたり」
「するわけないだろう!」
「冗談ですよ。でもさ、飛影。雪菜ちゃんを心配させないためにも」
「アイツは、俺が魔界で暮らしていると思っている」
「あ。オレ、あなたが人間界に戻ってきたこといっちゃいましたけど」
「なっ……」
「あなたが魔界にいるほうが、彼女が余計に心配するみたいなので」
「貴様」
「余計なことでしたか?」
「…………」
「ねぇ、飛影。だからいい加減、そんな生活終わりにして。オレの所に――」
「もう二度と、貴様の所になど来るかっ!」
(2010/03/08)
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