260.主釣り(不二塚)
「釣り、いかないか?」
「僕?」
「ああ」
「どうして」
「嫌か?」
「今まで、誘ってくれたこと無かったじゃない」
「……主を」
「え?」
「山の主である魚を釣ってみようと思って。お前なら、どれがそいつ見分けられるんじゃないかと」
「なに、それ」
「それに、山の中だ。写真を撮るのにも丁度いいんじゃないのか?」
「とってつけたような理由だね」
「……嫌か?」
「嫌だ何て一言も言ってないけど」
「じゃあ行ってくれるんだな?」
「ねぇ、コレってデートの誘いだよね?」
「えっ?」
「違うの?」
「別にオレはそんなつもりでは」
「違うなら、行かない」
「…………」
「ねぇ、手塚。デートの誘い?」
「……ああ」
「じゃあ、行く。大丈夫。君の獲物は僕が見つけてあげるよ。そうじゃないと、僕は狩れないからね」
「?」
「獲物を狩るときが一番無防備だってこと。釣りをしている君の姿、ちゃんと写真に撮らせてもらうよ。だってまさか、僕に主を見つけさせるだけ見つけさせておいて、後は自分ひとりで釣りの世界に入るわけじゃないでしょう?」
「あ、ああ。そうだな」
(2010/03/07)
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