270.厄介(はるみち)
「ねぇ、はるか。その寝癖、どうにかならない?」
「え?」
「ちょっといいかしら?」
「ああ」
「これ」
「それ?いいじゃないか、それくらい。分からないって」
「分かるわよ。全く。厄介な寝癖ね」
「そう?少しセットすれば直ると思うけど」
「そうじゃなくって」
「じゃあ何なんだよ」
「いつもクールな天王はるかの、ちょっと可愛いところ」
「……は?」
「はるかは基本が恰好いいから。だから余計にこういうちょっとしたところが可愛らしく映るのよ」
「別にいいじゃないか」
「良くないわ。そういうギャップみたいなものに、女の子は弱いんだから」
「妬いちゃう?」
「気が気じゃないわ」
「けど、みちるも僕のそういうとこ、好きなんだ」
「…………」
「みちるも、一応女の子だからな」
「一応は余計よ。それに。別にこの寝癖を除いても、私ははるかの可愛いところ沢山知っていてよ?」
「それはいけないな」
「え?」
「そんなに沢山知ってたら、ギャップじゃなくなるだろ?」
「……もう、バカね。そんなもの無くても、私は充分、貴女に弱っていてよ」
(2010/03/01)
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