275.人形遣い(外部ファミリー)
「ねぇねぇ。見て見て!」
「あら、可愛いわね」
「ほたる。それ、どうしたんだ?」
「うん。今度のレクリエーションでお人形劇やるの。ほたる、ヒロインの役なんだよ!」
「へぇ。凄いじゃないか」
「だから、はるかパパもみちるママも観に来てね」
「えっ」
「あら。はるかに言ってなかったかしら?来月の第2金曜、授業参観なのよ」
「きい、て。ない。けど。えっ、来月?金曜?」
「そうよ。都合、悪かったかしら?」
「いや……、えーっと。その……。すまないっ」
「えーっ」
「いや、その日は、その。マシンの、調整があって。日曜が、レースだから」
「やーだっ。はるかパパも来て!」
「う、ん。いや、えーっと」
「ほたる。仕方がないわ。今回は」
「えーっ。だってぇ」
「私とせつなだけでは不満かしら?」
「…………」
「それもとも、ほたるははるかがレースで負けてしまってもいいというの?」
「……もん」
「えっ?」
「はるかパパは、私の授業参観に来たくらいじゃ、負けないもんっ」
「ほたる……。ねぇ、はるか。その日程、一日早めることは出来ない?」
「僕の調整だけなら何とかなるけど。マシンを見ないといけないから。スタッフが……。なぁ、ほたる。かわりに、さ。これから毎日、僕が練習に付き合ってあげるよ。みちるたちに手伝ってもらうと、ネタバレになっちゃうだろ?だから、さ。……それじゃあ、駄目かな?」
「毎日?」
「そう。毎日」
「本当に毎日?」
「本当に、毎日。駄目、かな」
「……しょうがないなぁ。じゃあ、今回だけは許してあげる。じゃあ、はるかパパ、お部屋に行こ」
「ああ。……あ。ごめん、ほたる。先に言っててくれるかな」
「どうして?」
「紅茶、入れて持っていくから。ほたるは準備してて。ほら、僕の分の人形、何か用意しなきゃだろ?」
「うん。分かった!」
「…………。拗ねるなよ」
「別に拗ねてなんかいないわ」
「そう?顔に不満って書いてあるけど?」
「違うわ。ちゃんと読み取って」
「なに」
「淋しいって書いてあるのよ」
「…………」
(2010/04/14)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送