283.賄賂(不二榊)
「なんですか、このボトルの山は」
「私は学年主任だからな」
「所謂賄賂って奴ですか。成績を上げろと」
「今更、成績を上げたところで推薦を取れない奴らの親に限ってこういうことをする」
「……一つもらっていいですか?」
「駄目に決まっているだろう。君は未成年だ。……それに、これらは全部送り返す」
「郵送で?」
「着払いでだ。直接持っていったのでは、返されてしまう可能性があるのでな」
「貰っちゃうわけには」
「いかない。不正は私の嫌うところだ。知っているだろう?」
「そうでした。貴方は例え恋人にだって贔屓をしない。他の誰かと比べる時は」
「……それはどういう意味だ?」
「だってまさか、生徒にこういうこと、許してるわけではないでしょう?」
「目をかけている生徒がいたとしても、こういうことはさせない。これは恋人の特権だ」
「そう。それはよかった」
「何を心底安心しているんだ、君は。そんなに私が信用できないのか?」
「ええ。僕は自分を信用してませんから」
「……言っていることが、分からないな」
「つまり、こんな僕のことを好きだという人を、信用できないってことですよ」
「だったら、嫌えば信用されるのか?」
「さぁ?僕は、今まで嫌われたことがないので」
「随分と、自信過剰だな」
「妬きますか?」
「いいや。私は、君と違って、君を信頼しているのでな」
「……そう、ですか」
(2010/04/18)
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