284.大絶賛(はるみち)※『29.世界にたったひとつだけ』のその後
「どうだった?」
「上々も上々よ。大絶賛だったわ。また演奏して欲しいってアンケートに沢山書いてあって。折角だから今度出す私のCDに収録しようかっていう話まで出ているの」
「へぇ。そりゃよかった」
「その割には、あまり嬉しそうじゃないみたいだけど」
「いや、嬉しいよ。嬉しいさ。僕の曲を君と僕で演奏して。それが賞賛されてるんだから」
「はるかさん。そういうこと、正直に言った方がいいんじゃなくて?」
「……なんかさ、曲が一人歩きしていきそうで怖いなって。あの曲は、あくまで僕たちが演奏するための曲だから」
「生じゃないと意味がないってこと?」
「僕らの知らないところで曲が流れていても意味がないってこと」
「……だったら、音源化はしないわ」
「みちる?」
「その代わり。今度のツアーは、はるかも一緒に回って?」
「えっ?」
「お願い。私はあの曲を弾いているはるかをもっと感じていたいの」
「けど」
「大丈夫よ。聴衆からの反応は良かったんだもの。スタッフもみんな賛成してくれるわ。ね。お願い」
「……分かったよ。ただし」
「なあに?」
「ホテルは、同じ部屋なことが条件だぜ」
「っもう」
(2010/04/02)
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