287.初仕事(はるみち)
「初仕事、か。なぁ、みちる。君はもうどれくらいこなしてるんだい?」
「さぁ?忘れてしまったわ」
「……ずるいな。本当は覚えてるんだろ?」
「どうだったかしら」
「全く。……上手く、行くかな」
「大丈夫よ。戦い方は魂が記憶しているわ。今はまだ思い出せなくても、変身すれば。戦えば、きっと思い出す。……でも、いいの?」
「何が?」
「魂の記憶を甦らせるということは、それだけウラヌスが、過去の自分が今の自分に介入してくるということなの」
「……君は、それで何かが変わったのかい?」
「分からない」
「自覚ないなら、変わってないのと同じさ」
「私は、そうだったけど。貴女にはそれに気付く他人が居るわ」
「君の事?」
「…………」
「みちるは、僕が変わってしまうことが怖い?」
「ええ。少しだけ」
「そう。……でも、僕は変わるよ。例え、変身しなくてもね」
「え?」
「いや、変わったといったほうが正しいかもしれないな。僕は、君と出会って変わった」
「どう、変わったの?」
「君が気付かないなら、じゃあ、変わってないのかもしれないな」
「……ずるいわ」
「お互い様だろ」
「っ。来たわ」
「……相変わらず、グロテスクだな」
「はるか」
「おいおい。そんな顔するなよ。大丈夫なんだろ?」
「ええ。そうね。大丈夫。はるかなら、きっと大丈夫よ」
「……何が?」
「え?」
「いや、なんでもない。……みちる」
「なあに?」
「これからは、僕が君を守るよ。そのための、変身だ。……行くよ、みちる」
「よくってよ」
(2009/11/22)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送