309.宝の持ち腐れ(外部ファミリー)
「……ほんと、勿体無いわ」
「何が?」
「貴女のその指よ」
「ゆび?」
「ええ。その指」
「お、おい。みちる、よせよ。くすぐったいだろ?」
「……ピアノ」
「え?」
「こんなに上手いのに、人前で弾かないだなんて。勿体無いわ、宝の持ち腐れよ」
「何言ってんだよ。人前なら。今、君の前で弾いただろ?」
「それだけじゃ」
「それだけでいいんだよ。僕の手は君のためにあるんだから。僕のピアノは、君のために」


 なんて、言ってたのに。


「ほたる、もう一回」
「じゃあお手本っ」
「分かった分かった。ちゃんと見てるんだよ?」
「うんっ」

「……みちる?どうかしたんですか。顔、変ですよ?」
「変ってどういう意味?」
「そのままの意味ですよ。微笑ましいじゃないですか、あの二人」
「微笑ましい?……ええ、そうね。微笑ましいわ、とても」
「……みちる。それ、微笑みの種類が違います」
(2009/11/17)
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