315.爺さんはしゃぎすぎ(不二ナン)
「なぁ、周助。今度二人で旅行とかいかねぇか?」
「どうして」
「どうしてって。そりゃあお前さん、こう、なんつぅか、浴衣とかってそそるだろ?」
「何。旅行って、温泉?」
「旅行といやぁ、温泉だろ」
「じじい」
「なっ。お前な、確かに俺ぁリョーマの父親だが、まだまだ若いつもりだぜ?」
「僕は旅行だったら海外がいいな。南ちゃん、英語喋れるんでしょう?だったら英語圏のどっかに行こうよ」
「ばぁか。それじゃ一泊二日は無理だろ」
「何。一泊二日でいいの?」
「俺は大人だから、理由なんて無くったって旅行出来るがよ」
「ああ。そうか。僕が無理なのか。そうだよなぁ。幾ら僕でも、海外となると、一人で行くとは言えないし。まさか……南ちゃんと行くとも言えないし」
「だろ?だから、国内。一泊二日。どう?」
「ていうか、だからなんで旅行したいの?浴衣なら、僕、ここで着てあげてもいいけど」
「そうじゃなくってさ。浴衣もそうだけどよ。俺たち一度も外で会ったことねぇじゃねぇか」
「だって南ちゃんがリョーマの父親だってみんな知ってるから。ヘタに見つかったら困るじゃない」
「だ、か、ら。そういう知り合いのいねぇどっか遠い場所なら並んで歩けるだろっての」
「並んで歩きたいの?」
「まぁ、な」
「こうやって、手、つないで?」
「腕組んでくれてもかまわねぇぜ」 「……ていうか、それは、何処に行っても無理なんじゃないかな。多分、周りから親子として見られるだろうから」
「どっちかが女になれば言いだけの話だろうよ」
「……僕に女装しろって?」
「旅費は出すからさ。なっ。頼む。若い子と並んで歩きたい年頃なんだよ」
「年頃ってね……。まぁ、いいか。旅費とかその他諸々、出してくれるなら」
「よっしゃ!やったぜ。周助くん最高!俺何着ていこっかなー」
「……はしゃぎすぎだよ、じじい」
(2010/02/16)
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