343.都合のいいことはすぐ忘れる(はるみち) |
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「また、そうやって」 「何?」 「あの時のことを思い出しているのね」 「別に」 「眉間に皺、寄っていてよ?」 「あ……」 「はるかって。普段都合の悪いことはすぐに忘れたフリするくせに。使命となると、都合のいいことばかりを忘れてしまうのね」 「何だよ、それ」 「私が怪我をしてからもう一ヶ月経っているのよ。それまで何体の妖魔を無傷で倒したと思っているの?」 「あの時の僕は、調子に乗りすぎてたんだ。だから、油断して君に怪我を負わせた」 「だからって今日の戦いを忘れる必要はないわ。一ヶ月前とは違うの。貴女は成長しているのよ、はるか。これはその結果」 「……初心忘るべからずっていうだろ?」 「そのことにこだわり続けているのもいけないわ」 「僕は……」 「はるか?」 「いや。そうだな。そうだ」 「なによ。急に」 「目が覚めたんだよ。……それだけさ」 |
(2011/03/18) |
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