345.仮面夫婦(はるみち&内部)
「あ。はるかさんとみちるさんだ。うわぁ、腕組んでる。いいな、いいな。私もまもちゃんと腕組んで歩きたいっ!」
「あの二人、いつ見ても仲がいいわよね」
「うん」
「でもそれって、逆に怪しくない?」
「怪しいって?」
「私達は仲がいいのよーって周りに思わせるように振舞ってる、とか」
「どーゆーこと?」
「だから、あの二人、実は仮面夫婦だってことよ」
「かめん、ふうふ」
「あー、もう、うさぎちゃんてば。まどろっこしいわね。仮面夫婦っていうのはね」
「一見仲睦まじく見えるけど、その裏で実際は冷めてる関係ってとこ、かな」
「あ。はるかさん!みちるさん!」
「……これはこれは、はるかさんにみちるさん。ご機嫌麗しゅう」
「隠れるなら、もっとちゃんと隠れた方がいいと思うぜ?」
「あ。それなら大丈夫です。私達、隠れてたわけじゃないですからっ」
「うさぎちゃん、うさぎちゃん。それ、威張って言えることじゃないから」
「あれ?」
「で。仮面夫婦がどうのって、一体誰のことを話してたのかな?」
「まったまたぁ。分かってるくせに」
「ちょっと、うさぎちゃん!」
「どうして慌ててるのかな?」
「えっと、それは……」
「はーい、しっつもーん」
「なんだい?」
「はるかさんとみちるさんって、ほんっっっとーに、仲がいいんですかぁ?」
「何聞いてるのよ、うさぎちゃん。そんなの、仲がいいにきまってるじゃない。ねぇ、はるかさん?」
「うーん」
「あれ?」
「僕たちは、なんていうか。仲がいいとか悪いとか。そういった次元じゃないから」
「……どゆこと?」
「なんていうかな」
「運命共同体なのよ」
「うんめい、きょーどー……?」
「好きとか嫌いとかそういうことに関係なく、私達は二人共にいる運命なの。離れられないのよ」
「おい、みちる。それじゃあまるで嫌々僕と一緒にいるみたいじゃないか」
「あら。そんな風に見えて?」
「見えない、けど」
「戦士である運命を呪ったことはあっても、私はその運命だけは呪ったことはなくてよ。寧ろ、歓迎するくらいだわ」
「へぇ」
「あら。ご不満?」
「別に。……でも、運命に逆らって結ばれる二人って言うシチュエーションも、結構捨てがたいと思うぜ?」
「私達が結ばれることは、運命に逆らっていることだと思うけれど」
「……まぁ、それも、そう、だな」
「あのー。いつもいつものことなんですけど、お二人さん」
「なあに?」
「私達の存在、忘れないでもらえます?」
「ああ。ごめん。でも、この場合は忘れといてもらった方が良かったんじゃないのかな?」
「えっ?」
「だって、僕達の仮面がはがれたところ、知りたいんだろ?」
「いいの?はるか。この子達にはちょっと刺激が強すぎると思うのだけれど」
「いいんじゃないか?君の、あられもない姿を僕以外に見せるのは、少し不快だけど」
「……えーっと。あのー」
「なんだい?子猫ちゃん」
「その。あの」
「私達っ、これで失礼させていただきますっ!」
「あ。おい!……はは。やっぱり行っちゃったか」
「じゃあ、今のは彼女達を追いやるための嘘?」
「えっ?」
「ねぇ、はるか。今日はもう少し、遠回りをして帰らない?」
「……了解」
(2010/04/27)
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