346.理想郷(はるみち)
「僕たちの理想郷は何処なんだろうな」
「えっ?」
「セーラームーンたちはきっと、前世(あのころ)の月世界がそうなのかもしれないが。僕たちにとって、あそこは果たして理想郷だったのかな?前世の僕は。ウラヌスは。どうだったんだろう」
「……貴女は、倖せについて考えたりしなかったわ」
「みちる?」
「与えられた使命を全うすることしか頭に無かった。それ以外の道があることを知らなかったの。私は、知ってしまったのに。貴女に出会って。ただ月を守ることだけが総てじゃないと。気付いてしまった」
「お、い。どうしたんだよ、みちる」
「ウラヌス」
「……ネプ、チューン?」
「それでもいいの。貴女が傍にいてくれるのなら。そこが私にとっての理想郷だから。ねぇ、ウラヌス」
「君は……。……僕も、そうだよ。ただ、出来れば、君とずっとこうしていたい。戦いの中だと、触れることはおろか、見つめ合うことすら出来ないだろ?」
「ウラヌス。私は、ずっと倖せだったわ」
「……ネプチューン。僕も、倖せだったよ」
「本当に?」
「ああ。だって何も不満が無かったんだ。それって倖せだったってことだろ?」
「そう、かしら」
「何だよ。僕の言うことが信じられないのかい?」
「……信じるわ。信じる。そう、私はいつも貴女を信じているわ。ウラヌス」
「ああ、僕もだよ。……ネプチューン」
(2010/03/11)
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