377.表裏一体(不二タカ)
「不二は、さ。どっちのオレが好きなんだい?」
「何?」
「だから。今のオレと、バーニングしてるオレ」
「どっちも好きだよ。それじゃあ駄目かな?」
「駄目じゃないけど」
「でもどうして、急に?」
「この間、乾にビデオを見せてもらったんだ。自分のプレイスタイルを確認しようと思って。そうしたら、オレ、全然性格違うから。考え方も、なんていうか、その」
「そうかな?」
「えっ?」
「人間、誰だって二面性って言うのはあると思うな。僕だって、きっとそうだし」
「不二はそんなことないよ」
「タカさんには優しいからね」
「それ、どういう意味だい?」
「だからさ。バーニングのタカさんも、今のタカさんも、結局同じなんだよ光が在るから闇が在る。それと同じ。今のタカさんがいるから、バーニングしてるタカさんもいるんだ」
「……よく、分からないんだけど」
「今のタカさんの性格が変わったら、多分、バーニングしてるタカさんの性格も、変わるんじゃないかな。背中合わせだからね。でも、触れ合ってる背中の部分にあるのは、きっと同じものだよ」
「同じもの?」
「そう。人を思いやる気持ち。どっちのタカさんも持ってるもの。きっとそれが、タカさんの本質なんだろうね。そして、きっと僕の好きなタカさんはそこなんだ」
「……そう」
「タカさん?」
「不二の、言ってること、なんとなくは分かったよ」
「じゃあ何に引っ掛かってるの?」
「不二が、オレには表側しか見せてないっていうことかな」
「えっ?」
「だってさっき言っただろ? オレには優しいって」
「ああ。覚えてたんだ」
「嬉しいけど、少し淋しいなと思ってね。不二。オレ、そんなに心狭くないよ?」
「分かってる。でも、そうじゃないんだ。僕がね、タカさんに優しくしたいだけなんだよ」
「…………」
「タカさん?」
「ずるいな、不二は」
「どうして」
「今の言葉を聞いたら、もうオレ、それ以上追求できないよ」
「そう。でも、ずるい僕を見れたんだから、いいじゃない」
「……それも、そっか」
「うん」
(2010/04/17)
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