379.生まれながらの悪女(はるみち)
「みちるって、子供の頃もみちるだったんだな」
「なによ、それ」
「可愛い」
「はるかっ、それ、どこで!?」
「さぁ?どこだろう」
「もうっ。はるかにそんな趣味があったとは思わなかったわ」
「どんな趣味だよ」
「プライバシーの侵害よ」
「そんなの、今更だろ?……いいじゃないか、アルバムくらい。僕に見られたくなかったら、実家に置いておけばいいんだ」
「それは……。まさかはるかが見るなんて思わなかったから」
「危機感足りないな」
「信頼してるっていって欲しいわ。見事に裏切られたけど」
「……えーっと。何の話だったかな。ああ、そうそう。これ、さ。子供の頃可愛いと、成長してからそうでもなくなるって話聞いてたんだけど。みちるの場合は、例外なんだなと思ってさ」
「…………」
「あれ?何、不満顔?」
「別に」
「でもさ、子供の頃からこれじゃ。みちるは生まれながらの悪女だよな」
「……どうしてそうなるのよ」
「だって、きっと誰しもが惚れてたはずなのにさ。君は誰のものにもならなかったんだぜ?」
「そんなことはないわ。私誰にも言い寄られたりしなかったもの」
「まぁ、高嶺の花だったろうからね。誰も近づけなかっただけさ」
「そうじゃないわ。私が誰も近寄せなかったのよ」
「でも、僕は近づいた」
「私から、だわ」
「……それもそうだな。でも」
「なによ」
「今は。僕の方が君に近づいてると思うけど?」
「それは……。貴女だからよ、はるか」
「…………」
「はるか?」
「ったく、君は……。本当に、悪女だよ」
「?」
(2010/04/19)
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