393.切り込み隊長(はるみち)
 吹き飛ばされた空中で何とか姿勢を立て直し、左手と両足を地面に滑らせるようにして着地する。見えない何かに弾かれた宇宙剣を握る右手は、僅かだけれど痺れていた。
 闇雲に突っ走るだけが、戦いじゃない。マーキュリーと共に戦って、僕はそのことを教えられた。だが。
「……ウラヌス」
「心配するな」
 この状況では、誰かが動き出さなければ何も解決しない。
 未知のものを相手にする場合、誰かが切欠を作らなければ、分析だって出来やしないんだ。
「宇宙剣が何かにぶつかった感触は、確かにあった。ネプチューン。僕がもう一度攻撃を仕掛けるから、君は何が起こったのか、ちゃんと視ていてくれ」
「でも」
「相手の出方が分からない以上、こういうことは足の速い僕のほうが有利だ。それに、考えるのは成績優秀な君のほうが得意だろ?」
「はるか……」
「いいから。見逃すなよっ」
 剣を強く握りなおし、敵に向かって再び駆け込む。分からない相手に行き成り突っ込んでいくのは危険だとあの子なら言うだろうが、結局、馴染んだ戦い方を今更変えることはできない。
 例えそのせいで無駄な傷を負うことになったとしても。
(2010/06/01)
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