406.恩を仇で返す(不二観)
「あなたは弟にどんな教育を施してきたんですか?」
「……君か、観月。突然現れて何かと思えば。裕太が、何?」
「折角今まで育ててきてもらった恩を忘れて」
「裕太が? 育てられた? 君に?」
「そうです。ツイストスピンショットを教えたのだって――」
「そう、君だ」
「と、とにかく」
「まぁ確かに、目的は何であれ、小さなテニスサークルで燻っていた裕太をあそこまで強くしてくれたのは君なのかもしれないね」
「そう思うでしょう? それなのに、最後の最後でボクの命令を無視して。その結果、越前に負けるだなんて。恩を仇で返すとはこのことです」
「……君の作戦通りに動いていたとしても、うちの越前には負けてたと思うけどね」
「いいえ、あれは勝てる試合でした。ボクの作戦に一部の狂いなど」
「なかった? 本当に?」
「…………」
「まぁ、君の取ったデータが完璧なのだとしたら、僕への作戦も成功していたかもしれないけど」
「越前リョーマのデータは完璧でした」
「彼は試合をするごとに成長し続けてる。リアルタイムで変化するデータを、どうして君が取ることができるのかな?」
「…………」
「ああ、それと。これは君が自分で言ったことだけど」
「なん、です?」
「今まで育ててきてもらった恩を忘れて。……裕太を育てたのが君なんだったら、恩を仇で返すことも君から学んだんじゃないのかな?」
「なっ」
「そういうことだろう? 分かったら、そんな詰まらないことで僕を呼び止めないでくれる?」
「……っ」
(2010/06/02)
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