410.ふかふかのケダモノ(蔵コエ)
「お前、本当に尻尾好きだな」
「だって触り心地いいんだ」
「そうなのか」
「自分の尻尾触らないのか?」
「お前は自分で自分の髪に触れて触り心地がいいと思うのか?」
「思わない」
「だろう?」
「だって事実そうだし」
「そうか? オレは」
「わっ」
「お前の髪、好きだがな」
「…………」
「どうした?」
「そんな、撫でるなよ」
「子ども扱いされているみたいで、嫌か?」
「…………」
「それが子どもだというんだ」
「僕はもう大人だ」
「妖怪と比べればな。だが、霊界の尺度だとまだまだ子供だろう?」
「うるさっ――」
「うるさいのは、お前だ。少し黙っていろ」
「お、おい。何をっ」
「大人なら、キスをされ押し倒されたら、この後なにが起こるかくらい見当がつくだろう?」
「…………」
「それとも、大人しく尻尾触ってるか?」
「…………」
「ふ。そう言うところだけは、妙に大人だな。子閻魔」
「うるさいっ」
(2010/04/21)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送