417.大盤振る舞い(不二スミ)
「今日は私のおごりだよ。たんとお食べ」
「……懲りない人だね、スミレちゃんも」
「こら。先生と呼ばんか、先生と」
「言ってて飽きませんか?」
「バカだね。これくらいで飽きるようじゃ、教師は務まらないよ」
「そう、ですか」
「それで? 何が懲りないっていうんだい?」
「毎回毎回さ、スミ」
「竜崎先生」
「……竜崎先生のおごりで、祝賀会してますけど。いつもそれで後悔してるじゃないですか」
「後悔というのはな、後から悔いるから後悔なんだよ。分かるかい?」
「進歩がないってことですか?」
「違うわ、バカ者。……私は、お前達の楽しそうな顔が見たいだけだよ。例えその後で悔いても、それはお前達の笑顔で帳消しになる」
「へぇ」
「お前……。自分で聞いておいて、興味なさそうだな」
「どうしてか知りたいですか?」
「……いいや」
「だってスミ……竜崎先生、み」
「だから、聞きたくないと言ってるだろう」
「みんな、って言うからですよ。僕の笑顔のためじゃないんだなと思って」
「ったくお前は。本当に分からん奴だよ。こんな年寄り捕まえて何を言ってるんだか……」
(2010/05/17)
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