421.不老不死(ムクロ&飛影)
「そんなもの、在るわけ無いだろう」
「そうか」
「……誰か、死にそうなのか?」
「だったらお前に治療を頼む」
「それもそうだな。じゃあ、なんなんだ?」
「さあな」
「そんなに、あの狐との行先が不安なのか?」
「なっ……」
「お前は変わったとはいえ、あの狐と一緒でなければ他人のために行動はしないからな。そんなお前が自主的に行動を起こしているんだ。察しはつく。……死にそうなのか?」
「今は、まだ」
「まだ? お前の心配はどれだけ先の話なんだ? 人間だろうと妖怪だろうと、いつかは死ぬ。それは分かってるんだろ?」
「……あいつの体は。本当は、もう」
「あの狐。まだ、人間でいるつもりなのか」
「人として死ぬつもりだ」
「面白い奴だな」
「…………」
「安心しろ。あの狐が死んだとしても、お前が思っているようなことは何も起こらない」
「……分かった風な口を」
「頼まれているんだ。コイツを」
「それは、蔵馬が夢幻花で作った……」
「そうだ。この薬をお前に飲ませるようにとな」
「……引き受けたのか?」
「もらってはおいたが、まだ返事はしていない。だが。オレとしても、お前のような奴が壊れていくのを見ていたくはない」
「…………」
「だから、安心しろ。お前の恐怖は、本物になった瞬間に忘れさせてやる。まぁ、それまでの恐怖に関しては、どうにも出来ないが」
「…………」
「おい。何処に行くんだ?」
「うるさい。俺の勝手だ」
「それもそうだな。……アイツに、約束は果たすと言っておいてくれ」
「ちっ」
(2010/04/25)
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